診療内容
乳がん以外にもある、乳腺の病気
other possible diseases
乳腺には、乳がん以外にもさまざまな「良性の病気」があります。乳腺は女性ホルモンの影響を受けやすい臓器で、月経周期や妊娠・出産、更年期など、ホルモンバランスの変化によって状態が大きく変わります。
そのため、乳房の張りやしこり、痛みなどがあっても、すべてが乳がんというわけではありません。
とはいえ、症状が似ているケースも多く、「良性か悪性か」は検査をしなければ区別できないことがほとんどです。
気になる症状があるときは、自己判断せずに乳腺専門医へご相談ください。
代表的な乳腺の良性疾患
common diseases
乳腺の疾患は、症状が似ていても、検査でしか分からないことがあります。乳腺の良性疾患と乳がんは、症状だけでは見分けがつきにくいことがよくあります。同じ「しこり」でも、性質や硬さ・形によってまったく異なる診断となるため、マンモグラフィや超音波検査などの画像診断が欠かせません。
とはいえ、これらの要因があるからといって必ず乳がんになるわけではありません。定期的な検診を受け、早期に変化を見つけることが最も重要です。
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乳腺症
女性ホルモンのバランスの乱れにより、乳腺の一部が硬くなったり、張りや痛みを感じたりする状態です。月経前に症状が強くなることが多く、閉経後は自然に落ち着く傾向があります。良性の変化であり、定期的な経過観察を行うことで十分対応できます。
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乳腺炎
授乳中に乳管から細菌が入り、炎症を起こす病気です。発熱や乳房の赤み・痛みを伴うことが多く、膿がたまると「乳腺膿瘍」になることもあります。抗生剤による治療や、膿を取り除く処置で回復するケースがほとんどです。
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乳腺のう胞(嚢胞)
乳腺内に液体がたまった袋のような構造物で、多くは良性です。大きさが変わることもあり、しこりとして触れる場合もあります。超音波検査で容易に確認でき、症状がなければ経過観察となることが一般的です。
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線維腺腫
若い女性に多く見られる良性のしこりで、触るとコロコロと動くのが特徴です。大きくなることはありますが、がん化することはほとんどありません。ただし、乳がんとの区別がつきにくい場合があるため、画像検査で正確に判断することが大切です。
乳腺の疾患の自覚症状
subjective symptoms
乳がん・乳がん以外の良性の疾患は、症状が共通している箇所もあり、自己判断が付きにくいものです。
以下の表では、乳がんと乳がん以外の乳腺疾患に見られる主な症状を比較しています。ご自身の症状と照らし合わせながら、気になる変化がある場合は早めの受診をご検討ください。
| 症状 | 乳がん | 良性乳腺疾患(乳腺症・乳腺炎など) |
|---|---|---|
乳房のしこり |
〇:動くことが多い | 〇:柔らかく動くことが多い(乳腺症・線維腺腫など) |
乳房の持続的な痛み |
△:まれにあり | 〇:よくある(特に乳腺症) |
乳頭からの分泌物 |
〇:血性・片側などは要注意 | 〇:両側・透明や白色なら良性のことが多い |
乳房の大きさや形の左右差 |
△:急激な変化は要注意 | △:生理的な差も多い |
乳頭の陥没や形の変化 |
〇:要注意サイン | △:先天的・加齢によることも |
皮膚の赤み・熱感・腫れ |
〇:炎症性乳がんで見られる | 〇:特に乳腺炎でよく見られる |
皮膚のくぼみ・ひきつれ |
〇:乳がんの典型的サイン | ×:通常は見られない |
皮膚がオレンジの皮のようになる |
〇:炎症性乳がんの特徴 | ×:ほぼ見られない |
不安な症状があるときは、早めにご相談を
last message
乳房のしこりや痛みは、必ずしも乳がんとは限りません。しかし、自己判断で放置してしまうと、症状が悪化したり、不安を抱えたまま過ごすことにもつながります。どの疾患も、早めの受診によって治療期間を短くし、再発を防ぐことができます。
乳腺クリニック・道後では、「しっかり調べて安心していただく」ことを大切にし、また、患者さまの症状や生活に合わせて、無理のない治療・フォローアップを行っています。
気になる症状がある方や検診で異常を指摘された方は、どうぞお気軽にご相談ください。